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2025.06.04

「SusHi Tech Tokyo 2025」の場へ再び。“仮説を立てる場”の舞台裏と出展したスタートアップの声

持続可能な都市の未来を描く、アジア最大級のスタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2025」。

Sustainableな都市をHigh Technologyで実現するため、世界中の人々が集まって議論し、行動に移すこの舞台に、昨年同様、三井不動産はゴールドパートナーとして出展しました。

そこで今回の出展を主導したベンチャー共創事業部の鈴木に、出展の裏側にある想いを取材。さらに、三井不動産のブースに出展していただいた4社のスタートアップの声もお届けします。

経営理念を体現した出展。「実際に“もの”を見て、触れて、感じる」体験にもこだわる

前回を凌ぐ規模と、多様な参加者を集めたSusHi Tech Tokyo 2025。その中で出展した三井不動産のブースについて、今回こだわった点を鈴木は次のように話します。

三井不動産 イノベーション推進本部 ベンチャー共創事業部 鈴木 智也

鈴木「三井不動産は2024年に、『さあ、街から未来をかえよう』というコーポレートメッセージを策定しました。これは、経営理念を凝縮したもので、共生・共存・共創の精神を受け継ぎながら、多様な人々を巻き込んだり新たなテクノロジーやアイデアを取り入れたりすることで、より良い未来を実現する姿勢を示しました。今回はその理念を体現するために、 “集う”を空間コンセプトとして来場者が気軽に立ち寄りやすい雰囲気となるよう、オープンで丸みを帯びた構造を意識しました。さらに、プロダクト性のあるサービスを展開するスタートアップの皆さまに出展いただき、『実際に“もの”を見て、触れて、感じる』体験にもこだわりました」

三井不動産の出展ブース

昨年からの変化として、2024年4月にはイノベーション推進本部も誕生しました。不動産業という枠組みを超え、より新しい領域での事業開発、つまり新規事業をつくるという方向に軸足を移し始めたことで社内の意識も変化していると話します。

鈴木「イノベーション推進本部の誕生は、自分自身を含め、社員一人ひとりの意識改革につながっていると感じます。オープンイノベーションも促進され、社内外の交流を通じて新たな発想を生み出す刺激になっているんです。とはいえ、オープンイノベーションや意識改革はあくまで手段のひとつにすぎません。これからはそれらを活用して既存の不動産事業と近いインパクトの事業を創出することが求められていますし、我々の新たな挑戦だと考えています。」

今回のブースは「仮説を立てる場所」。様々な人との出会いでインスピレーションの源へ

一方で、社内外に対してもっと情報発信をしていく必要があると話す鈴木。情報発信を行っていくために、今回は三井不動産という会社自体についてもっと知ってもらうためのセッションも増やしました。

鈴木「ここ数年で不動産会社としての枠を超え、事業開発やイノベーションに注力する方向性が明確になりました。長期経営方針である『& INNOVATION 2030』を通じ、会社全体として新規事業創出に取り組む姿勢も強まっています。さらに研究施設やオフィス、アカデミアや産業界との連携強化を通じてイノベーションのハブとなることも目指している、そうした姿勢を発信できればと考えました」

さらに三井不動産に限らず、出展企業様やブースを訪れた方々にとって、新しい発想や事業を生み出すための「インスピレーションの源になって欲しい」と話します。

鈴木「様々な人との出会いそのものが、インスピレーションの源になりますよね。そのため、今回のブースは何かを生み出すための『仮説を立てる場所』という位置づけ。出会いを通じて仮説を見つけ、検証し、新たな事業創造のきっかけになればと考えています。我々の例を挙げると、例えば昨年、全国でソーシャルコワーキング事業®︎を展開する『ATOMica』がパネルセッションに登場しましたが、その後、弊社のワークスタイル推進部と合宿を行い、連携の取り組みが進んでいます。その合宿会場となったのが、別荘サブスクリプションサービスを展開する『SANU』の施設で、今回の出展企業の1つなんです。今回の出展を通じ、こうした我々と出展企業様との連携はもちろん、我々と来場者の方々、また出展企業様と来場者の方々が交流することで、新たなインスピレーションが生まれることを目指しています」

大盛況となった今年のパネルセッションの様子

予想をはるかに超えるたくさんの人が来場。出展を行なった4社のスタートアップの声

最後に今回、出展にご協力いただいた、4社のスタートアップの声もご紹介します。

エウレカロボティックス株式会社

1社目は、AIビジョンシステムベンダーである「エウレカロボティックス株式会社」。話を聞いた、Head of Salesの池川 隆一 氏は、今回の出展について次のように語ります。

エウレカロボティックス株式会社 Head of Sales 池川 隆一 氏(左)とEngineer 田代 桂太郎 氏(右)

池川氏「実は以前、このイベントに何度か来場者として参加したことがあり、すごく良いイベントだと思っていたなか、三井不動産様からお声がけをいただき、出展することができました。三井不動産様とは以前から倉庫の自動化に向けた実証実験が進んでおり、今回のイベントをきっかけに、次のステップに進んでいきたいという想いもありました。

イベント初日の午前中から、予想をはるかに超えるたくさんの方に来ていただきました。グローバルな投資家の方やスタートアップ、VC、メーカーの方など、本当に多様な方々とたくさんお話をすることができました。写真や動画を撮っていく方も多く、反響の大きさに驚いています。特に自動化やAIの分野に取り組んでいるスタートアップやメーカーの方々との交流が活発で、改めて良い機会になったと感じています。

昨夏に資金調達に成功しているのですが、来年以降にまた資金調達をする際、今回のイベントで得られたつながりをぜひ活かしたいと思っています。私たちはAIビジョンシステムベンダーとして、他の企業様とのコラボレーションやサポートいただく機会を常に探しています。その点、三井不動産様もAIによる自動化に力を入れていることもあり、AIを使ったビルの運営やサービスロボット、セキュリティサポートなどの分野で、ぜひ連携やサポートを今後実現していければ嬉しいです」

株式会社Sanu

2社目は、シェア別荘サービスを展開する「株式会社Sanu」です。法人向けの福利厚生サービス「SANU 2nd Home for Business」の事業責任者を務める伊藤氏は、今回の出展について次のように語ります。

株式会社Sanu 法人事業責任者 伊藤 光祐 氏

伊藤氏「今回、SusHi Tech Tokyo 2025に出展したのは、三井不動産様より出資先の事業を紹介したいというお声がけをいただいたことがきっかけです。私たち自身も法人利用の拡大を目指しており、この機会を積極的に活用したいと考えました。

そもそも三井不動産様とは、単なる出資関係を超え、多岐にわたって事業の根幹に関わる連携をさせていただいております。土地のご紹介や法人向けプランのご契約に加え、私たちの施設を三井不動産様の会議やチームビルディング合宿にご利用いただくなど、協力関係が深化しています。

来場者層は当初想定していた既存のお客様に加え、人事、海外のスタートアップ関係者、投資家など、多岐にわたる属性の方々がいらっしゃいました。エキスポのようなイベントでありながら、従来の雰囲気とは異なり、ビジネスマッチングや商談の場としても機能していると感じます。様々なご意見や刺激をいただき、大変有意義な機会となりました。

今後は法人の企業様に加えて学校法人や行政とも連携し、都内での自然体験提供など、都心にいながらも自然を体験できる取り組みを模索してまいります。また、三井不動産様とも自然との共生の文脈で新たな価値創造に向け、より一層連携を深めていきたいです」

輝翠株式会社

3社目は農業用ロボットなどを開発する「輝翠株式会社」です。今回の出展では、行政関係者の方々にも目に留まる機会になったと話します。

輝翠株式会社 セールスマネージャー 髙橋 司 氏

髙橋氏「現在、自社の柏の葉周辺の開発拠点においてロボットによる果樹や剪定枝の運搬や除草作業の自動化といった実証実験を進めており、その成果を発信できる場所や、新たな技術や視点を持つ企業とのつながりを強く求めていました。今回の出展はまさに、三井不動産様より発信・連携の機会をご提供いただけるとのことで、願ってもない機会だと思いました。

私たちはより明るく、より緑豊かな明日のために、農業分野における人手不足の解消や生産性向上に貢献するロボットの開発に取り組んでいます。三井不動産様とは、より良い未来を目指すという共通の理念を共有できていると感じており、今回の連携はその理念を具現化するうえで大きな推進力になると思っています。特に幅広い事業展開とネットワークをお持ちの三井不動産様が、柏の葉エリアで実証の場を提供してくださるだけでなく、様々な分野の企業様と出会う機会を創出していただけることはかけがえのないメリットです。

今回の出展を通じ、企業の方々のみならず、県庁や国の機関といった行政関係者の皆様からも、私たちの取り組みに関心をお寄せいただいています。将来的には実証実験をさらに発展させ、県や国といった、より大きな規模での展開を目指します」

シスルナテクノロジーズ株式会社

シスルナテクノロジーズのブースの様子

4社目は、東北大学発のスタートアップで、超小型人工衛星の製造・販売を事業として展開する「シスルナテクノロジーズ株式会社」です。今回の出展で、予期せぬ出会いや会話が生まれたと代表の石亀 一郎氏は言います。

石亀氏「今回のイベントへの出展は、東北大学と三井不動産が「東北大学サイエンスパーク構想」の推進にあたりパートナーシップを締結しているご縁からお声がけいただきました。

初めての出展でしたが、当初想定していたよりもとても良い機会となりました。例えば、関東の大学で人工衛星を製作している学生団体の方が当社ブースを訪れてくれたり、航空宇宙工学科出身で現在は事業会社に勤めている方にお会いできたりと、宇宙にバックグラウンドを持つ方々との出会いはとても貴重なものでした。

また、ブースを訪れていただいた民間企業との共同事業の可能性も出てきています。

さらに今回のイベント期間中、三井不動産様ともたくさんの時間、会話することができ、パートナーシップにつながるお話も出ました。こうした予期せぬ出会いや会話に恵まれることができ、改めて出展して良かったと感じています。

現在、我々は仙台に本社を置いていますが、将来的には東京に営業拠点などを開設する可能性もあるため、その際、ぜひ三井不動産様の施設をお借りできると嬉しいです。また、三井不動産様はさまざまな企業とつながっていると思うので、当社のことをご紹介いただけると、新たな展開につながるのではないかと期待しています」

多数の来場者が訪れ、さまざまなつながりが生まれた今回。出展いただいたスタートアップの皆さまも、価値を感じていただけたようでした。とはいえ、今回はあくまでも仮説を立てる場であり、ここからが始まりです。三井不動産も、よりスタートアップとのパートナーシップを深めながら、引き続き新規事業の創造を目指していきます。