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2024.10.29

個人も法人も、みんなが主役になれる「広場」へ。「OCHA PARK」にかける思いとその舞台裏

2024年10月5日・6日、「MIYASHITA PARK」を活用し、世界中の多種多様なお茶文化を楽しめる新たな都市型イベント「OCHA PARK(お茶パーク)」を開催しました。

OCHA PARKは、三井不動産 ベンチャー共創事業部が、日本文化の担い手であるつくり手との共創に取り組み、異なるカルチャーをミックスしながら新たな切り口で日本文化を世界に発信していくプロジェクト「○○PARK」事業の第3弾。(第1弾は日本酒、第2弾はワインを主なテーマとし開催)

茶飲み友達、茶話会、といった言葉に評されるように、茶を起点に人とつながる一服する文化をもつ日本において、「お茶と人との新たな出会いを創出したい」というOCHA PARK実行委員会の想いに共感し、三井不動産 ベンチャー共創事業部がパートナーとなり、共同開催に至った今回。

OCHA PARK実行委員会のメンバーやコラボレーションを主導したベンチャー共創事業部の黒目と森内に、取り組みの裏側を聞きました。

国内外37社の茶葉のつくり手と消費者がつながる、OCHA PARK3つの見どころ

OCHA PARKとは、日本茶や中国茶、紅茶、スパイスティーまで、国内外の個性豊かなお茶を一堂に集めた都市型イベントです。「千差万別な『お茶文化』の融合を通して、ボーダレスでオープンな交流を育む」というコンセプトのもと、渋谷・MIYASHITA PARKを会場に、2日間にわたって開催しました。

今回のOCHA PARKの見どころは、次の3つです。

●国内外から厳選された茶葉の生産者・販売者計37社が集結し、約400種類のお茶のテイスティングを楽しめる
●お茶に合うフードとのペアリングやお茶会のワークショップに参加することで「お茶文化」を体験できる
●OCHA PARK × 銀座 蔦屋書店のコラボレーションで、ここでしか買えない限定商品が購入できる

OCHA PARKでは、オリジナルカップを購入することで、つくり手たちとの会話を楽しみながら、約400種類のお茶を自由にテイスティングできます。さらに、お茶に合うフードメニューや、お茶会のワークショップなど「お茶文化」を体験する機会も提供。銀座 蔦屋書店と「日本の豊かな文化と伝統を世界に広めたい」という共通理念をもとにコラボレーションも行い、茶葉の限定セットや茶器などの工芸品も特別販売しました。

今回、茶葉の生産者・販売者のキュレーターをはじめイベント全体のディレクターを務めた長谷川氏は、出店者の特徴を次のように話します。

長谷川氏「とにかく思いのある方々に出店してもらいたい、ということを重要視しました。その結果、茶葉の生産量が多い農家さんというわけではなく、信念や理想をもち、さまざまなチャレンジをしながらお茶づくりをしている人たちにご参加いただいています。今回ご参加いただいているほとんどのつくり手の方々は都外からお越しいただいていて、中には九州や関西圏から来られている方もいます。そうした背景もあるため、私たち運営側のメンバーも出店者さんの信念にきちっと応えるべく、覚悟を背負いながら、このイベントをつくり上げてきました」

「norm tea house」店主 長谷川 愛 氏

とくに、今回のイベントで価値を感じてもらいたかったのが、茶葉のつくり手とお客様とのコミュニケーションだと言います。

長谷川氏「お茶をつくっている方と飲む方の接点は、普段、ほとんどありませんよね。私自身は仕事柄、農家さんを訪問してお茶づくりの話を聞いたり、畑にお邪魔して実際の生産現場を見せてもらったりしてきました。そうした経験から、こういったイベントの機会につくり手と消費者が話す、ということがすごく大事だと思っていて。単にお茶がおいしい・おいしくないという判断ではなく、関わることで新しい発見や気づきがあり、その結果、深い関係を築くことで関わることがなかったら生まれなかった今後の可能性の創出や、会場全体の平和な雰囲気づくりができればと思っています」

イベントの運営に携わったOCHA PARK実行委員会の酒井氏も、今回のイベントの価値はコミュニケーションにあると話します。

酒井氏「○○PARKにおいては、開催する場所がどのような地域性をもっているか、ということも重要な観点です。このイベントは渋谷のど真ん中、少し歩けばスクランブル交差点という、たくさんの人が行き交う場で開催されています。多様な人と人が混ざり合う象徴のような場所だからこそ、今回出店してくださったそれぞれの地元の自然豊かな場所でお茶をつくられているつくり手の方々と、渋谷を訪れた方々同士が、ある種の偶然性をもって地域を超えて出会い、交わることのできる機会をつくれたことが今回のイベントの価値の1つだと思っています」

六歩株式会社 酒井 かえで 氏

商品開発や決済端末の導入など、法人とのコラボレーションで顧客体験の向上を目指す

三井不動産では、2024年4月に策定したグループ長期経営方針「& INNOVATION2030」にて、「エンターテインメントを活用したリアルの体験価値を最大化する街づくり」の推進を掲げています。その一環として前回、MIYASHITA PARKとコンテンツの掛け算で、新しい体験を提供するために「VIN PARK(ヴァンパーク)」を開催。引き続き〇〇PARK事業として、今回はお茶をテーマに、OCHA PARK実行委員会と共同開催することになりました。ベンチャー共創事業部の関わり方について黒目は、次のように話します。

黒目「長谷川さんの素晴らしいセレクトによって、これだけの出店者さんを集めていただけましたし、竹田さん・酒井さんをはじめとするチームにはVIN PARKのときにもお世話になっていたので、イベントの運営は安心してお任せすることができました。私たちベンチャー共創事業部の役割は、ビジネス面でのサポートや企業とのコラボレーションがメインになります。資金面はもちろん、銀座 蔦屋書店さんとのコラボレーションによる商品開発、楽天チケットさんとのコラボレーションによるチケット販売や、楽天ペイメントさんとのコラボレーションによる決済端末の導入など、様々な企業さまとの共創に取り組んでいます。そして、出店していただく皆さんがお客様とコミュニケーションを取りやすいよう、イベントの環境づくりにも注力しています」

三井不動産 ベンチャー共創事業部 共創事業グループ 黒目 天麗沙

ベンチャー共創事業部の森内も、OCHA PARK実行委員会と三井不動産、それぞれの強みが掛け合わさり、本イベントが実現できたと話します。

森内「○○PARKで大事にしているのは、その名の通り公園・広場の考え方です。特定の『だれか』だけのためではなく、『だれも』が気軽に、自由にそれぞれの楽しみ方で楽しめるような場所であるために、今回のイベントでは『導線』の設計を改めて見直しました。

渋谷の中心地では、クレジットカードを含む様々な決済方法にできる限り対応していることが、例えばインバウンドの方に楽しんでいただくために不可欠なことです。その点で、事前のチケット販売も含めて楽天チケットさんにご相談させていただき、楽天チケットさんのみならず、楽天ペイメントさんとの連携もさせていただきました。

また、出来たてのおいしいお茶を楽しんでいただくためには、お湯をストレスなく沸かせる環境をどう作るか?も重要なテーマでした。このあたりは、次回に向けた課題も見つかった部分でもありますが、いずれにしても、店舗側での提供がスムーズになるような導線にも気を配りたいと考えていました。

そうした会場の段取りなどの準備はもちろん、今回のイベントに携わったメンバーが別々の道を走るのではなく、同じ目標に向かってそれぞれの強みを生かしながら、同じ志で1本の道を走ることができたため、イベントのクオリティをグンと上げることができたんだと感じています」

三井不動産 ベンチャー共創事業部 共創事業グループ 森内 龍

酒井氏も、今回の座組の強みを次のように話します。

酒井氏「参加したメンバー、それぞれに強みや思いがあり、その掛け算によって良いチームが生まれたんだと思います。例えば、三井不動産さんは他企業さんとのコラボレーション、そして長谷川さんが茶葉のつくり手とのコミュニケーション、私たちが裏方としてイベントを形にしていく。そうした役割を明確化でき、1つのイベントを盛り上げようという思いのあるチームと、MIYASHITA PARKという素晴らしい場所が掛け合わされれば、自ずと良いコンテンツが生まれますよね」

さらに、今回のOCHA PARKでは、VIN PARKのときに企画を主導していただいた竹田氏もサポート役として加わりました。

竹田氏「VIN PARKに続き、今回のOCHA PARKでも、MIYASHITA PARKを通じて若い人たちに文化を届けていくことを意識しました。とくに、ワインなどのお酒は20歳未満だと飲めませんが、お茶なら誰でも飲めますよね。だからこそ、子供からお年寄りの方々まで、みんなに開かれた場にすることで、思いがけないコミュニケーション機会が生まれる場所にしたいと思いました」

六歩株式会社 竹田 潤平 氏

これまで三井不動産では〇〇PARK事業として、日本酒やワインのようにテーマを変えながら、リアルの場を活かしたイベントを行ってきました。そうしたなか、回数を重ねるごとに場のイメージも鮮明になってきたといいます。

黒目「最初はなかなか先が見えない中での取り組みでしたが、〇〇PARKをやる度にみんなの『広場』というイメージが鮮明になってきました。今では、日本酒やお茶、ファッションや工芸、音楽といったカルチャーやエンターテインメントの要素があり、個人が遊びに来る場所というだけではなく、企業の方々にとっても入ってきやすい場所になってきています。そのため、今回、銀座 蔦屋書店さんとコラボレーションし、リアルな店舗だけでなくオンラインストアでも販売の機会をつくれたように、『みんなの広場』づくりを楽しんでいただける企業様と、新しい何かを一緒に生み出せればと思っています」

森内「個人・法人を含め、みんなの『広場』にしたいのはもちろん、特定の誰かが目立つのではなくみんなが主役になる、そんな場所づくりを目指しています。ファミリーだけではなく、年配の方々や若年層もいる、そして個人だけではなく法人もいるという状態をつくることで、今の暮らしに豊かさをつくることはもちろん、未来に向けたシナジーが生まれるような場にしていきたいです」

〇〇PARKを飛び越え、新たな挑戦ができるプラットフォームへ

SAKE PARK、VIN PARK、OCHA PARKと、MIYASHITA PARKを活用することで、新たな体験を提供してきたこれまで。今後の展望について黒目は、MIYASHITA PARKに限らず、○○PARKという考え方を、形を変えながら広げていくことで、多様な人と人とのコミュニケーションが生まれる場を作りたいと言います。

黒目「まずは継続していくことで、どんどんファンの方を増やし、そしてファンの方に飽きられない仕掛けを施していきたいです。MIYASHITA PARKは、私たちの〇〇PARKというプロジェクトのコンセプトにすごくぴったりな場所です。だからこそ今後は、○○PARKの門戸をもっとオープンに、例えば、新たな場所や、新たなコンテンツ、新たなパートナーさまと、様々な挑戦の形も探していきたいです。

今回のイベントを通して、リアルイベントの強みは『人と人とのコミュニケーションが生まれること』だと改めて感じました。まったく関係性のない通りすがりの人たちだったとしても、イベントをきっかけに茶葉のつくり手と会話が生まれるという未知の体験ができる、そのこと自体が貴重な機会なんだなと。今後も様々な場所で、こうしたコミュニケーションの機会をどんどん増やしていきたいです」

さらに森内は、〇〇PARKという枠に留まらず、今後どういった形を目指していきたいかの構想を話します。

森内「〇〇PARKを継続していくことと同じくらい、この〇〇PARKをきっかけに『新しい挑戦を生む』こともとても大切なことだと思っています。例えば、○○PARKをきっかけにつながったつくり手同士で、コラボレーションイベントや新たなお茶の楽しみ方が生まれる。その中には、当社も含まれます。つくり手とつくり手、主催者と参加者、○○PARKをきっかけに、その枠組みを飛び超え、さらに新しいものを生み出すことにも、当社としては挑戦していきます。当社に限らず、そういう思いをもった方にとって、新たな挑戦ができるプラットフォームになることも、最終的なゴールの一つの形だと考えています」

今後、三井不動産ベンチャー共創事業部では、カルチャーの中心地である渋谷の「MIYASHITA PARK」だけでなく、様々な「リアルの場」を活かしたコンテンツを手がけることで、新たな機会創出を続けていきたいと思います。