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2025.05.20

三井不動産×スタートアップで新しい買い物体験を生み出す。商業施設運営一部が「OPEN INNOVATION PROGRAM 2025」を開催

「ショッピングの可能性を拡げよう!」をテーマに、4月23日(水)、三井不動産ベンチャー共創事業部と商業施設運営一部が「OPEN INNOVATION PROGRAM 2025」を開催しました。

オンライン×オフライン、ショッピング×スポーツ・エンタメなど、三井不動産が持つアセットとスタートアップの革新的なアイデアを掛け合わせることで、新たなショッピング体験の創出を目的とした今回。

この記事ではスタートアップとの共創にかける想いを、商業施設運営一部の藤本と、ベンチャー共創事業部の鈴木に聞きました。

オムニチャネル時代、真の共創を実現できるスタートアップとの出会いが不可欠

「オムニチャネル戦略は、私たち商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部にとって最重要施策の1つです」と語る、藤本。

それは、「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」「ららアリーナ」などのリアルアセットと、「&mall(ECモール)」や「三井ショッピングパークアプリ」といったデジタル接点を融合させ、顧客に新たなショッピング体験を提供する取り組みです。

この戦略を実現するためには、スタートアップとの共創が不可欠だったと話します。

藤本「正解がないオムニチャネル戦略を推進するためには、不動産会社である私たちだけではどうしても持ち得ないノウハウやサポートが必要となります。さらに真の共創のためには単なる受発注の関係ではなく、お互いが対等なパートナーとして協力し、『もっと良くするには?』とアイデアを出し合う関係性が不可欠だと考えています。そこで今回のプログラムを通じ、我々が目指す方向性を伝えながら、真の共創を実現できるスタートアップの企業様と出会いたいと思ったんです」

三井不動産 商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部 商業施設運営一部 藤本 真一

なかでも、藤本がパートナーに求めるのは「ショッピングをもっと楽しく、もっと新しいものにしたい」という共通の思いです。

藤本「ショッピング業界に、これまでにない顧客体験を提供したいという思いを共有できるかが重要です。その手段がオムニチャネル戦略であれば、より深く共感できるかもしれません。とはいえ、手段に固執せず、ともに顧客体験全体を創造していけるような、そんな企業様と出会いたいですね」

オムニチャネルに限らない手段として在庫管理システムなど、インフラ面の課題にも藤本は言及します。

藤本「例えば、オンラインで商品の在庫数が正確に反映されない、という課題があります。オンラインとオフライン、どちらでもシームレスに商品を探せて購入できる状態を目指していますが、在庫情報を一致させるのは非常に難しい。そういった技術的なブレークスルーが求められる分野は、実はたくさんあるんです。インフラから決済、サービスにいたるまで、共創できる分野は多岐にわたります」

藤本は以前、三井不動産リアルティのプログラムに参加していました。そのときは当事者ではなかったものの、さまざまな領域のスタートアップから、自社だけでは思いもつかない斬新な視点や提案を受けた経験が印象に残ったと言います。

藤本「『こんな提案をするのか!』と、何度も驚かされました。私たちだけでは決して辿り着けなかったであろう発想に触れ、感動したんです。それが、今回のプログラム開催のきっかけとなって、『我々の部署でも実施したい』と話を持ちこませてもらいました。サポートを行ってくれたベンチャー共創事業部は、スタートアップへの理解がとても深いため、彼らと話しているだけでもスタートアップとの具体的な連携イメージが持ちやすくなりました。そして今回は当事者として、同じ目標に向かって共に歩んでいけるような、最高のパートナーと出会えることを心から願っています」

新たなショッピング体験が生まれる予感。5社のスタートアップが協業案をプレゼン

当日のプログラムでは藤本の挨拶・商業施設運営一部の事業説明の後、5社のスタートアップによるピッチとQ&Aが実施されました。

各社が提案した、未来のショッピング体験を彩る革新的なアイデアや参加した感想をご紹介します。

Gigalogy株式会社

代表取締役 ウッディン モスレ氏

1社目は、Eコマース向けのAIプラットフォームや生成AIアプリ開発のプラットフォームを提供するGigalogy株式会社。AI技術を軸としたパーソナライズ検索やノーコードで生成AIアプリを開発できる「MAIRA」による、協業案を提案しました。

●ウッディン モスレ氏のコメント

「今回のプログラムに参加し、三井不動産様のリアル施設とデジタル接点を融合させたオムニチャネル戦略への本気度と、現場の課題意識の高さを実感しました。特にピッチ後の質疑応答や懇親会では、SCM(サプライチェーンマネジメント)やオムニチャネル、アプリやECの利活用、テナント様の支援など、多角的な観点から話を伺い、この領域における可能性の広がりを改めて実感できました。三井不動産様が保有する豊富な施設・データ・ブランド価値と、私たちのリアルタイムAIパーソナライゼーション技術や対話型AIを掛け合わせることで、来館前・来館中・来館後すべての体験を一人ひとりに最適化する『次世代ショッピング体験』の共創ができると考えています。特に&mallやアプリとの連携、スポーツ・エンタメとの融合など、先進的かつ実証的な取り組みをご一緒できること、楽しみにしています」

株式会社ZAICO

代表取締役 田村 壽英氏

2社目は、在庫管理システム「ZAICO」を提供する株式会社ZAICO。同社は、ZAICOと&mallなどを連携することで、テナント企業がリアルタイムかつ正確な在庫管理を実現する仕組みを提案しました。

●田村氏のコメント

「プログラムを通して自分自身の経営課題が整理されたのが一番の印象でした。例えば懇親会でのやりとりのなかで『小売業の分野でサービスを展開するなら、この課題を解決できる』と整理できたんです。複数の小売企業様が取引先としていらっしゃると思うので、三井不動産様にはその方々を束ねてもらい、その企業様に対して私たちのようなスタートアップが協業できる機会を期待します」

株式会社ホロラボ

ビジネスアーキテクト シニアマネージャー 松江 澄人氏

3社目は、XRや空間コンピューティング技術を活用した製品の開発・販売、受託システム開発などを行う株式会社ホロラボです。ショッピングモール全体をVPS(Visual Positioning System)に対応させて個人の好みや行動履歴に合わせて情報を表示する、世界初となる「訪れる人の好みに合わせて姿を変える未来型のショッピングモール」を提案しました。

●松江氏のコメント

「他のスタートアップや三井不動産の方々からさまざまなアイデアが飛び出し、とてもワクワクしました。我々は現実空間への情報の可視化を得意としている技術屋として、デジタルとフィジカルの融合をテーマにさまざまな取り組みをやってきましたが、まさにフィジカルな体験の提供は三井不動産様でないとできないこと。そのため、我々が強みとするデジタルと三井不動産様が強みとするフィジカルの部分を掛け合わせた取り組みを、ぜひご一緒できたら嬉しいです」

エンゲート株式会社

取締役副社長 田村 憲史郎氏

4社目は、スポーツチームへのギフティングサービスなどを提供するエンゲート株式会社。ECショップでよく行われるショップ買いまわりのポイント還元イベントなどを、ららぽーとなどの実際のショッピングモールで実現する方法を提案しました。

●田村氏のコメント

「適度な規模感でいい意味でクローズドな感じでしたので、懇親会も含め、三井不動産の皆さまとたくさんお話しできて良かったです。我々は、スポーツチームのクライアントがベースのサービスですので、チームだけでは動かせないドームやアリーナなど、施設も絡めた施策を連携できると良いなと思いました」

forent株式会社

CEO 塚﨑 浩平氏

最後は、日常をクエストに変えるゲーミフィケーションサービス「Questival」などを展開するforent株式会社です。「“ショッピング”を“冒険”にしよう!」をテーマに、商業施設を冒険の舞台として回遊するアプリを提案しました。

●塚﨑氏のコメント

「非常に充実したプログラムで、三井不動産の皆さまの真摯な姿勢と、新たな連携の可能性を探る前向きな雰囲気が印象的でした。特に懇親会ではさまざまな方とフラットにお話しでき、我々の取り組みに対しても前向きな反応をいただけたのは嬉しかったです。今後は、三井不動産様の豊富なアセットやネットワークを掛け合わせることで、都市や暮らしに新しい価値を生み出せるのではないかと期待しています」

今回のプログラムに対する感想を「非常に有意義だった」と藤本は話します。

藤本「我々と『共創したい!』という意思のある企業様から提案をいただけるので、入口から熱意のある方々とお話ができる、思いがけずおもしろい企業様と出会える場だったなと改めて感じました。懇親会では、ピッチでは聞ききれなかった深い話ができ、理解がさらに深まったと感じます。どの企業の方も、サービスの向上に向けていろいろな創意工夫をされており、私たちも見習わなければならないと強く思いましたね。具体的に抱えている課題の解決に向けて今すぐにでも実証実験をしたい企業様もいれば、情報のキャッチアップのためにまずはリレーションを継続したい企業様など、さまざまな連携の仕方が見えたプログラムでした」

ここから熱が生まれる、そんな未来への架け橋となる

ベンチャー共創事業部の鈴木は、改めて今回のプログラムの実現経緯を、次のように振り返ります。

鈴木「きっかけは、前回の三井不動産リアルティのイベントに、商業施設運営一部の藤本さんが参加したことでした。『うちの部署でも、ぜひ開催したい』と熱い言葉をもらい、実現に至ったわけです。とはいえ、今日のプログラムはゴールではなく通過点です。特にスタートアップとのマッチングは重要な要素ですが、それがすべてではありません。フェーズによってマッチングすべきタイミングも異なります。そのため今回のプログラムをきっかけに現状を打破するような新しい考え方を見つけることができたり、その先、スタートアップとの連携が進んだりすると良いなと思いつつ、成果はこれから時間をかけて見えてくるものだと考えています」

三井不動産 イノベーション推進本部 ベンチャー共創事業部 鈴木 智也

今回のプログラムを終え、新たな熱が生まれることを期待したいと鈴木は話します。

鈴木「今回はすでに顕在化している課題の解決にマッチする、スタートアップの皆さまにご登壇いただくようにしたことで、これまでの会よりもスタートアップのピッチに対して『わかる!』と共感の声が多かったのが印象的でした。一方で発想の『セレンディピティ』は生まれにくい状況になるかと思いますので、そのあたりは今後チューニングしながら社内で協議をしていきたいです。スタートアップ業界は外部からは見えにくい部分もあるかもしれません。独特なつながりによって形成されている側面もあります。だからこそ、我々の部署はそうした実情に対する深い理解を武器に、今後も三井不動産とスタートアップのつながりを生み出していきたいです。今回のプログラムも、つながりによってここから何か熱が生まれる、そんな未来への架け橋となればこれ以上嬉しいことはありません」

スタートアップとの共創を通じ、ショッピング領域で新たな価値を創造しようとする、強い意志の表れを具体化した今回のプログラム。ベンチャー共創事業部は今後も、こうしたスタートアップとのつながりを生み出し続けていきたいと思っています。