お知らせ
アート・エンターテイメントの力で、生物多様性の保全と、ナイトタイムエコノミーの活性化を目指す。 「京都府×Moment Factory×三井不動産」の“縁”で実現した京都府⽴植物園LIGHT CYCLES KYOTOの開催秘話
日本最古の公立植物園である京都府立植物園の開園100周年を記念し、10月18日(金)から12月26日(木)まで期間限定で開催されるマルチメディア・アートプロジェクト「LIGHT CYCLES KYOTO(ライトサイクル キョウト)」。
本プロジェクトは京都府が主催し、企画演出を世界最高峰のマルチメディア・スタジオ「Moment Factory」が手がけたもので、三井不動産は、100年前に三井家からの寄付により植物園が設立されたというご縁から、特別協力として参加しました。
今回は、プロジェクトのキーマンである京都府の砂子坂孝之氏、Moment Factoryのクリエイティブ・ディレクターであるメリッサ・ワイゲル氏、三井不動産ベンチャー共創事業部の粟谷に話を聞きながら、開催秘話をお届けします。
新しい植物の魅⼒を体験できる没⼊型エンターテインメント「LIGHT CYCLES KYOTO」
「LIGHT CYCLES KYOTO」とは、京都府立植物園の観覧温室を舞台に、「Moment Factory」が手掛ける没入型エンターテイメントです。その中では、私たちがまだ知らない植物の世界や、まったく新しい植物の魅力を体験することができます。日本最古の公立植物園として、今年開園100周年を迎えた京都府立植物園の植物と、光、音、プロジェクションが融合することで、「植物の世界を旅する」という新たな体験を創出するとともに、京都におけるナイトタイムエコノミー(※)の活性化を目指します。
開催前日の17日(木)にはオープニングセレモニーを開催。セレモニーでは、西脇隆俊京都府知事、都倉俊一文化庁長官、Moment Factory共同創業者のドミニク・オーデット氏、そして三井不動産株式会社の山下和則が挨拶を行い、本プロジェクトが持つ、生物多様性への貢献やナイトタイムエコノミーの活性化につながる意義のある取り組みだと言及しました。
本イベント会場のメインとなった観覧温室は、生物多様性をキーワードに
●LIGHT WILL FIND YOU
●MEMORY OF WATER
●INVISIBLE
●FOREST FREQUENCIES
の4つの体験ゾーンで構成されます。
実際に温室の中に入ると、光と音、そして植物との融合により幻想的な世界が広がります。とくに最初の「LIGHT WILL FIND YOU」では、日本の「こもれび」にインスパイアされた光の筋が降り注ぐ中、「魔法の世界」に導かれる感覚になり、自然と歩みも穏やかになります。
つづく「MEMORY OF WATER」は、海の水が太陽の光により温められ、水蒸気となり、雲となり、また雨となって海に戻る「水のサイクル」を表現しているのが特徴。足元にあしらわれた白い煙によって、まるで雲のうえを歩いているような錯覚に陥ります。
そのほか、「INVISIBLE」では、私たち人間が見る見方ではなく、植物が持つ隠れたリズムを光で表現。最後のゾーンである「FOREST FREQUENCIES」では、信号によるコミュニケーションを図っている植物の繰り広げる会話を、光と音で体験いただけます。
※ナイトタイムエコノミー
日没から日の出までの夜間に行われる経済活動を指す。その地域特有の魅力や文化の訴求を、夜間における様々な活動によって消費拡大につなげる考え方。
組むべくして組んだ3者。LIGHT CYCLES KYOTO開催の背景
本プロジェクトでチームを組んだ、京都府、Moment Factory、三井不動産。元々、Moment Factoryのメリッサ氏が京都府立植物園に訪れたことをきっかけに、一緒に取り組みができないか、京都府に提案したことからこのプロジェクトは始まりました。
メリッサ氏「私たちは『Light Cycles』をほかの国でも提供しており、私の好きな日本にも、ぜひこの取り組みを持っていきたいと考えていました。私は自然が大好きで、以前来日した際、京都府立植物園を訪れたことがあるんです。本当に素晴らしい場所で、瞬間的に恋に落ちました(笑)。そこで京都府に、ぜひ京都府立植物園という舞台で、『Light Cycles』の取り組みをやらせていただけないか、提案しました。それがきっかけとなり、今回、京都府のご協力はもちろん、京都府立植物園と縁のあった三井不動産にもご協力いただけることになったのです」
京都府の砂子坂氏は、出会うべくして出会ったチームだと語ります。
砂子坂氏「京都府立植物園の次の100年に向けた将来ビジョンとして『京都から世界の生物多様性保全への貢献』を掲げています。その実現のため、世界への発信や生物多様性を感じていただく機会を提供できないかと考えていました。そんな中、Moment Factoryからご提案いただき、自然に対する崇敬やその理念において、京都府立植物園との親和性が非常に高いと感じたんです。これまでの100年間、植物園として大切に守ってきたものもあるのですが、これからの100年を歩み出すためには新たな価値を生み出す必要性があると感じたのも、ご提案をお受けした理由です。さらに、京都府は、カナダのケベック州と友好提携を結んでいまして、そのケベック州のモントリオールに本社を置くMoment Factoryから話をいただいたのも、ご縁だと感じています。そして、100年前に三井家より寄付いただき植物園が設立できたとの深いご縁のある、三井不動産に新たな100年を歩みだすこのタイミングで加わっていただけたという、シナリオに描かれていたかのような、出会うべくして出会ったこのチームができました(笑)」
砂子坂氏が話す通り、今回の舞台となった京都府⽴植物園は、三井家が100年前に寄付してできた場所。そうした縁があり、三井不動産も特別協力というかたちでプロジェクトに参加しました。
粟谷「三井不動産は日本橋において、『残しながら、蘇らせながら、創っていく』というコンセプトで街づくりを行ってきた会社です。今回のイベントはアートやエンタメを活用し、歴史・文化を新しい形で残していきたいという京都府の思いがあり、そこが弊社のコンセプトとオーバーラップしていて、強く共感できたというのがプロジェクト参加のきっかけでもあります」
エンタメと歴史的な場の組み合わせで、新しい街づくりに挑む
改めて、砂子坂氏は、今回のプロジェクトにかける思いについて次のように話します。
砂子坂氏「京都には国際的にも有名な神社仏閣など文化観光コンテンツがたくさんあります。それらに『LIGHT CYCLES KYOTO』という夜間における魅力的なアート・エンターテイメントコンテンツが加わることで、文化観光における時間と地域の分散を図り、『ナイトタイムエコノミーの活性化』や『オーバーツーリズムの抑制』に寄与できればと思っています。この京都府立植物園ではたくさんの植物が栽培されており、驚くほどの多様性に触れていただくことのできる場所です。今回のMoment Factoryの演出は、その植物たちの生命を感じ、生物多様性に携わるきっかけの創出となるはずなので、老若男女、世代や性別、国に関わらず、幅広い多様な方々に楽しんでいただけるのではないかと考えています。そして、植物の魅力に新たに気づかれる方、再発見してくださる方が増えて、京都府立植物園のファンになっていただけると嬉しいです」
メリッサ氏としては、京都府立植物園と人工的な音・光が融合することで、違った角度から自然を楽しんで欲しいと話します。
メリッサ氏「我々の演出を通じ、これまでとは違う角度から自然に親しんでいただく機会になればと思います。京都府立植物園にある植物は、日常生活の中では見られないものもたくさんあります。これだけの植物を自然の中で見つけようとするのは相当難しいことですし、そうした貴重な植物が一カ所に集中しているところが京都府立植物園の良さです。そこに我々の演出が加わることで、貴重な植物を見るという事象だけでなく、植物との空間に没入することで、もっと深い感情を抱いて欲しいと思います。その結果、学習として捉えるのではなく、この空間を五感で楽しみながら生物の多様性を知っていただき、最終的には植物に恋をして欲しいと思います」
最後に、三井不動産の粟谷は、今回の取り組みを1つのモデルとし、横展開していきたいと言います。
粟谷「我々は、長期経営方針としてエンターテイメントを活かした街づくりを掲げています。その成果の一つが、今回のプロジェクトに参加することで得たノウハウです。こうした経験を横展開することができれば、ほかの場所での街づくりにも新たな価値創出のきっかけを与えることができると思っていますし、未来につながる価値を三井不動産がより提供できるようになっていくのではないかと考えています」
LIGHT CYCLES KYOTOのようにエンターテイメントと歴史的な場所が掛け合わさることで、新たな価値を創出できる可能性はまだまだ隠れています。三井不動産では、こうした「アート・エンターテイメント×場」による街の活性化に、今後も取り組んでいきます。