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2024.01.24

業界向け特別プロダクトで挑む宿泊業界の課題解決「Teachme Biz 宿泊パッケージ」共同開発の背景と、労働人口減少社会への挑戦 〜スタディスト 代表取締役 鈴木氏 × 三井不動産ホテルマネジメント 林戸氏 × 三井不動産 上窪 対談〜

(写真:左から、三井不動産ホテルマネジメント 林戸氏、スタディスト 鈴木氏、三井不動産 上窪)

【本記事のポイント】
・31VENTURESがスタディストへ出資した経緯や、スタディストから見た三井不動産の印象とは
・「Teachme Biz 宿泊パッケージ」共同開発の背景とその魅力とは
・「Teachme Biz 宿泊パッケージ」が宿泊業界の課題を解決できる理由
・スタディストとともに取り組む”労働人口減少社会”への挑戦


三井不動産は2021年4月、グローバル・ブレインと共同で運営するスタートアップ投資事業「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」を通じて、マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を提供する株式会社スタディストへ出資しました。2023年11月にはスタディストと三井不動産ホテルマネジメントが協力し、宿泊業界が必要とされる基本業務のマニュアルをリストにした「Teachme Biz 宿泊パッケージ」を開発し、宿泊企業向けに提供をスタートしました。

今回、スタディスト 代表取締役 鈴木 悟史氏、三井不動産ホテルマネジメント 総務人事部 研修担当リーダー 林戸 優介氏、三井不動産 ベンチャー共創事業部 上窪 洋平が、「Teachme Biz」の可能性について語り合いました。


<プロフィール>

株式会社スタディスト 代表取締役 鈴木 悟史氏
明治大学大学院卒。株式会社インクスにて、3DCADの機能仕様検討業務や設計システムの開発に従事し、製品開発プロセス改革のプロジェクトリーダーを歴任。その後、同社パートナー職を経て、2010年2月インクスを退社。同年3月に株式会社スタディストを設立。

株式会社三井不動産ホテルマネジメント 総務人事部 研修担当 リーダー 林戸 優介氏
2016年に入社、三井ガーデンホテル柏の葉 宿泊部門に従事し、ホテリエ人生を始める。2018年、三井ガーデンホテル日本橋プレミアの開業では中途入社社員、新人アルバイトへの教育に携わる。2019年より現職。

三井不動産株式会社 ベンチャー共創事業部 主事 上窪 洋平
在学中からロックバンドquizmasterのギター・ベース担当として日本と台湾で活動。解散後、大手監査法人での監査・FAS業務、日系金融機関NY支店での勤務を経験。2019年に当社へ入社し、CVC事業、新規事業開発、PR等に従事。


労働人口の減少という社会課題の解決が事業のコアであり、そのニーズに対応する解決策の一つが「Teachme Biz」

鈴木:私たちは企業向けのクラウドサービスを提供していて、主力事業は、写真や動画を用いたわかりやすいマニュアルを、クラウド上で簡単に作ってシェアできるシステム「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」です。

このシステム開発の背景にあったのは、日本が直面している労働人口減少社会です。今後ますます深刻化が見込まれているなか、多くの企業は一時的に業務に携わるスポットワーカーに頼らざるを得ない状況になっていきます。また、AI化が進めば一部のデスクワーカーは職を失い、ノンデスクワーカーの領域へと労働力が移動していくことが予想されます。加えて、国内のマーケットが縮小し海外進出が進んでいきます。

そうなったときに、新しく採用したスタッフの即戦力化が非常に重要になってきます。上司が新人に張り付いてOJTをする人手がないとなれば、言語を超えて仕事の手順や方法がパッと理解できて、すぐに働き始められるようにする必要がある。社会課題の解決が当社の事業のコアであり、そのニーズに応えるのが「Teachme Biz」です。

株式会社スタディスト 代表取締役 鈴木 悟史氏

鈴木:従来の日本企業のマニュアルは、あることはあるけれど、古くて使われていなかったり、文字だらけで誰も見ていなかったり、形骸化しているのが多くの企業の現状だと思います。特に日本企業の海外拠点では、日本人駐在員が数年間ごとに異動になる場合がほとんどで、マニュアルがないケースも目立ちます。日本企業が海外へ出ていく必要があるなかで、現地のスタッフをしっかりと育成できないと事業はうまくいかないのではないでしょうか。

商業施設やオフィス、ホテル、物流など三井不動産グループが保有する施設の豊富さに可能性を感じていた

上窪:2021年4月、私たちはグロースステージのスタートアップ企業を投資対象とした「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」で、スタディストへの投資を決めました。「グロースファンド」は金額が大きいため、協業可能性の明確さを含めて慎重な判断のうえで投資を行なっています。

共同運営者であるグローバル・ブレインのキャピタリストから「おもしろい会社がある」とスタディストを紹介してもらったのが始まりで、「Teachme Biz」をはじめとする事業は内容がわかりやすいうえ、社会のニーズがとても見えやすいというのが第一印象でした。また当時、すでに事業が成長している点も魅力的でした。

加えて、三井不動産グループの商業施設で導入している店舗マネジメントツール「はたLuck®︎」を手がける株式会社HataLuck and Person(ハタラック・アンド・パーソン)と向き合っている課題が似ていて、協業や連携の可能性も感じました。当社のテナントネットワークのなかの企業への営業支援という点でも期待感が高かったです。

あとはやはり、「Teachme Biz」についてプレゼンする鈴木さんの説得力がすごかったです。社会が直面する課題と、提示する解決策のフィット感。我々のプロジェクトのなかに間違いなく必要だと思わされました。

三井不動産株式会社 ベンチャー共創事業部 主事 上窪 洋平

鈴木:私たちの三井不動産の印象としてはまず、私たちのサービスはお客さまである企業に知っていただかないと届かないので、「三井ショッピングパーク ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」といった商業施設のテナントネットワークがあることが魅力的でした。また、三井不動産グループは商業だけでなく、オフィスもあるし、ホテルや物流もあるので、すごく大きな価値や可能性を感じていました。

上窪:2020年からの新型コロナウィルスの影響で商業施設が苦しい局面を迎えていたこともあり、テナントへのシステムの紹介はこれから始めていくという状況です。まずは私の所属するベンチャー共創事業部や、社内の他部署など、グループ内で活用を進めています。

ノウハウを映像や画像にできることが「Teachme Biz 宿泊パッケージ」最大の魅力

スタディストと三井不動産ホテルマネジメントは、どの宿泊施設でも活用できる130項目のリストがパッケージとなった「Teachme Biz 宿泊パッケージ」を共同開発。新人研修などでも活用を目指す。

鈴木:パッケージ開発については、最初は私からの提案でした。コロナ禍が明けて、インバウンドをはじめ、人出が戻ってきたため、宿泊業界のお客さまは大変な状況になっていました。スタッフを採用できても、育成が大変で、それにもかかわらず宿泊客はどんどん来る、と。

だから、必要になるであろうマニュアルをラインナップして、すぐに使える状況でお届けしたほうがいいと思いました。当社ではそれ以前に、小売業向けと物流向けの2つのパッケージを作っていて、宿泊業向けが3つ目になります。

上窪:鈴木さんから提案をいただいて、ホテル部門と協議をしました。早い段階からいい感触で、スピーディーに話が進んでいきました。

林戸:私たちとしては、ノウハウを伝えるのに映像や画像を用いてビジュアル化できることが魅力でした。映像でノウハウを伝えることは常々やりたいと思っていて、それがようやく実現できるのではと感じたのが最初の印象です。また、紙ベースのマニュアルを使っていたので、ペーパーレス化で印刷の手間を省いたり、SDGsにもつなげられたりと、感じていた課題にも合致しました。

株式会社三井不動産ホテルマネジメント 総務人事部 研修担当 リーダー 林戸 優介氏

鈴木:忙しくてそれどころではないとは思いませんでしたか?

林戸:最初はどうなっていくのだろうと思っていたものの、着手すると、システムの骨子がわかりやすくてどんどんマニュアルを作っていけました。

鈴木:130項目のマニュアルのリストは、どの宿泊関連企業でも活用できそうなものを選んでいます。これをベースに各社のやり方に応じてカスタマイズして作っていく形になっています。しっかりと育成する仕組みを作ることで、従業員の定着にも寄与できるシステムだと思っています。

林戸:これまで紙ベースのマニュアルをアップデートはしていましたが、全国各地に点在しているホテルに新しい内容を発信しても、実際に反映されているかはわからない部分もありました。「Teachme Biz」は、個別の学習機能も搭載されていて、ホテルのスタッフたちが活用しているかどうかを確認することができる点も魅力的だと感じています。

また、Teachme Biz 宿泊パッケージの最大の効果はやはり映像化だと思っています。例えば、ホテル業務のなかでお客様のスーツケースなどの荷物を預かります。預かり方や気をつけるべき点は、これまですべて言葉で説明していましたが、動画を見てもらうとイメージが湧きやすいですし、伝えやすいです。当社は今後新規開業ホテルを抱えており、新人が即戦力として活躍できるような教育が課題です。また、OJTスタッフも不足しているホテルがあるなか、どの現場でも均等にわかりやすくノウハウを教えられる点で寄与してくれると期待しています。

鈴木:言葉は、人によって解釈が変わりますが、ビジュアルは解釈がぶれにくい。「TikTok」とか「YouTube」を日々見て生活する若い世代が職場に入ってくるなかで、文字情報だけで伝えるのは現実的ではないと思います。

(左から、三井不動産ホテルマネジメント 林戸氏、スタディスト 鈴木氏、三井不動産 上窪)

ゼロからではなく、ベースがあってスタートできると人材の成長スピードは速くなる

上窪:「Teachme Biz」は、ホテルや商業施設など現場の仕事に多くリーチしていますが、オフィスワーカー、デスクワーカーの生産性向上にも寄与できると思っています。実際、ベンチャー共創事業部のなかでも業務の手順を「Teachme Biz」で整理して使っています。

鈴木:最近、お客様からよく聞かれるのが、総務、経理、人事などバックオフィス系のニーズです。そういったところを三井不動産と一緒にやっていけたら、世の中へのインパクトも大きいと思いますし、広がっていくと思います。毎回、ゼロから教えるのではなく、ベースがあってスタートできると人材の成長スピードも早くなります。

上窪:私も業務でわからないことがあったときに同僚に聞いたら、「『Teachme Biz』に載ってるよ!」と言われ、ハッとした経験があります(笑)。社内のコミュニケーションをなくしたいわけではありませんが、調べてわかることは調べたうえで会話をしていったほうが生産的だとあらためて認識しました。

労働人口減少社会をともに乗り越えていくような提案を一緒にしていきたい

鈴木:三井不動産ホテルマネジメントと引き続きご一緒したいと考えているのは、外国人観光客への対応に関わること。海外の方が来たときに満足した体験ができれば、また日本に来てくれる。海外のお客さまになにかできたらいいなと、今、相談をさせていただいているところです。

また、労働人口が減少したときに一番インパクトを受けるのは、労働者が多い製造業や小売業、飲食業。その業界の生産性を上げていかなくてはいけません。三井不動産と一緒にやりたいことは、小売業や飲食業の皆さんと労働人口減少社会をともに乗り越えていくような提案をしていくことです。

上窪:私たちとして、まずはユーザーとなり得る企業をご紹介していきたいですが、その先には業界の課題を解決するような取り組みも一緒に取り組んでいきたいですね。

※「Teachme Biz 宿泊パッケージ」リリース
スタディスト × 三井不動産ホテルマネジメント × 三井不動産 宿泊施設向けマニュアルリストを共同開発 | 三井不動産株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)