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2022.03.24

【31VENTURES CVC】OVERVIEW ―キャピタリストが語る、CVC全体像- 前編

スタートアップのサービス・ビジネスモデルと三井不動産のリソースを掛け合わせ、新たな事業の創出を目指す三井不動産31VENTURES。31VENTURESが軸とする3つのソリューション「FUND」「WORKSPACE」「COMMUNITY」のうち、今回は「FUND」領域を担うCVCの全体像について、前後編の2回に分けて核心に迫ります。

前編は、チームの体制やファンド概要について、後編は出資のプロセスやCVCの展望について、キャピタリストの江尻修平に話を聞きました。

CVCについて、事業内容とチーム構成などを教えてください。

31VENTURESのファンドチームには、現状10名おり、特にキャピタリストは7名おります。

コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)という形をとっており、「31VENTURES Global Innovation Fund 」と、「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」の二つの投資事業を行っています。スタートアップの方と面会をして、どういった形の出資ができるかについて話し合うところから関わっています。
また、「協業」という形で、三井不動産の既存事業を変えていく取り組みや、一緒に新しい事業の共創を行うパートナー企業を探して、お話させていただいております。

出資と協業は分けているわけではありません。スタートアップと会うなかで、どうすれば協業できるかということは必ず考えていますし、機会をいただけるのであれば出資も検討しています。

どのようにして協業・出資先となるスタートアップを探していますか。

スタートアップとの面会は、月に10社くらいで、1年で100社ほどになります。

探し方の一つは、ファンドのGPを務めていただいている「グローバル・ブレイン社(以下GB社)」からのご紹介です。
それ以外にも、三井不動産のキャピタリスト自身が、イベントなどで実際にお会いしたスタートアップや、他のCVC、ベンチャーキャピタルの皆さまなど、GB社以外のご紹介によるものもあります。

あとは、ベンチャーキャピタルへのLP出資も行っているので、その方々のつながりからお会いすることもあります。

三井不動産の各事業部とスタートアップの協業の橋渡しは、どのように行うのでしょうか。

三井不動産は多種多様なアセットを扱っているので、事業部も多くあるのですが、事業部とは密に連携をとっています。
ただ、CVCによくある悩みですが、「どうやって事業部を動かすか」という点については、当社も同じように課題感を持っています。

それでも、これまでの6年間の活動で、スタートアップとの協業が大変意味のあるものと、各事業部から理解していただいています。各事業部には、スタートアップとの面会や、事業部内の調整などを行うキャッチャーを立ててもらっているのもその一つの成果です。キャッチャーとのコミュニケーションで、事業部内の課題を聞き、我々からスタートアップを探す、ということもあります。事業部側にもキャッチャーがおりますし、ファンドチーム内でも各事業部担当者を設け、日々協業を探しています。

新しい技術やサービスへのニーズが、事業部側で明確に言語化されていることばかりではありません。なので、スタートアップとすぐには関係ないことでも、事業部が持つ課題を我々が長い期間で見ることで、彼らが気付いていないニーズや、協業の種が見えてくることもあります。

各事業部ごとに担当がつくことによって、過去の経緯や今後のやりたいことなども踏まえて、協業を考えることができるのかなと思っています。正直なところ、当初は2〜3人と少ない人数だったので、担当を分けることができませんでした。事業部の深堀りを何カ所もやるのは、結構大変です。商業施設といっても、「ららぽーと」や、「三井アウトレットパーク」といった郊外型施設から、「COREDO」などの都心型施設まで、多岐にわたりますので。

2〜3年前から、外部採用も含めて人を増やし、各事業部に人数を振り分けられるようになり、1人につき1本部程度というように変わっていきました。

31VENTURESにはCVCとグロース事業の2つの投資事業がありますが、それぞれの違いを教えてください。

2015年に作った50億円の「31VENTURES Global Innovation Fund 1号」が最初で、我々はCVC1号と呼んでいます。こちらはもともと、シードからミドルステージのスタートアップを対象にしていました。2020年にその後継ファンドとして、「31VENTURES Global Innovation Fund 2号」として85億円のファンドを組成しました。こちらはアーリーからミドルステージのスタートアップを対象としております。

また、2018年には「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」を作りました。こちらはミドルからレイターステージのスタートアップ向けになっております。

2015年から2022年に至るまで、日本のスタートアップ業界自体がどんどん変化してきました。スタートアップの増加に伴い、企業のステージや、投資のチケットサイズも上がってきて、当初のCVCファンドでは出資が難しいステージのスタートアップが多く出てきました。
より一層踏み込んで、スタートアップの皆さんと一緒にやっていく、ミドルレイターステージでご一緒していく機会を逃さないために、グロースⅠ事業を2018年に作りました。

ただ、ファンドごとにチームが分かれているわけではなく、スタートアップの皆さまのフェーズに合わせて、投資を行う箱が変わる形になっております。

CVC活動を共にするGB社とは、どのように役割を分担していますか。

GB社はスタートアップと数多くの接点を持っていますので、そこから当社とマッチしそうなスタートアップのソーシングをしていただいています。出資検討する際のフィナンシャルな側面の評価や、デューデリジェンスもサポートいただいています。

スタートアップの目利きについてはGB社のプロの目をお借りしつつ、三井不動産側のキャピタリストは、協業を通して一緒にどういった事業を作れるかを考えることに注力する体制をとっています。

>> 後編では、具体的な出資のプロセスや、今後のCVCの展望についてお伝えします。ぜひお楽しみに!