imgimg
imgimg

NEWS

CONTACT

img
お知らせ

COLUMN
2016.12.14

ドローンワークスの活用からみる31VENTURESのハードとソフトを支えるサポート体制

31VENTURESはオフィスのハード面と、ビジネス支援であるソフト面の両面からベンチャー企業をサポートしています。今回はそのハード面とソフト面の支援を、大いに活用いただいているドローンワークスに注目。2016年秋に発売された室内向けのバルーン型ドローン「エアコクーン」は、KOILファクトリーの機器を駆使して試作機を開発し、31VENTURES KOIL内で試験運転を行うなどハード面を活用。また加えて31VENTURESのビジネス支援パートナーのサポートも受けて、契約書のチェックや経営戦略などソフト面のサポートも最大限活用いただいています。今回は三井不動産で施設運営を担当する西林さん、31VENTURESのインキュベーションマネージャーである後藤さんをまじえ、31VENTURESのサポート体制について語っていただきました。

・今村博宣 ドローンワークス株式会社 代表取締役
・西林加織 三井不動産株式会社 柏の葉街づくり推進部 事業グループ 主事
・後藤良子 31VENTURES インキュベーションマネージャー 一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ 事務局長

モノづくりベンチャーのドローンワークスが31VENTURES KOILを選んだ理由

ドローンに可能性を感じ、バルーンというモチーフで「エアコクーン」を開発した今村さんですが、どのような経緯で31VENTURES KOILを拠点にしたのでしょうか。

今村 まだ起業前でしたが、KOILが開業した日に見学に訪れて、3Dプリンター、レーザーカッターが使えるKOILファクトリーに魅力を感じていました。開業から少し経って実際に起業を考えるようになると、コワーキングスペース、シェアオフィスとしてのメリットも大きかった。1カ月単位で借りられるので、ローコストでスタートアップできるのがポイントでKOILに入りました。

入ったあとの印象はどうでしたか

今村 KOILファクトリーを商用でフルに使うのは僕が初めてのようでした。使ってからは「ここをこうするともっと使いやすいな」というような思いをいろいろとぶつけていったわけです。そのときは西林さんに聞き役になってもらいました。

西林 KOILは今も毎日のように視察・見学が絶えません。その際にKOILファクトリーもおもしろいと皆さん関心は持っていただけますが、商品のプロトタイピングをしていただいたのは、今村さんがほぼ初めてでした。私が所属する柏の葉街づくり推進部は、柏の葉全体が世界のモデルとなるような街づくりを公民学で連携しながら進めています。街の来訪者や住民、施設をご利用される方の意見や要望に応えていくのが私の務め。その観点から、KOILについても担当しています。私の部署のオフィスもKOIL内にあるので、テナントの方とは毎日顔を合わせて挨拶もできる環境です。よく顔を合わせるからこそ、話しやすさを覚えてもらえたのでしょうか。毎日何かしら話し合い、KOILファクトリーについても貴重なフィードバックをいただきました。

後藤 KOILも立ち上げて数年という若い施設で、ハードもソフトも日々改善を重ねています。モノづくりをされる方が実際に使いやすいかどうかは、触っていただかなければわかりません。今村さんに使っていただいたからこそ、具体的な改善点が分かってきたのだと思います。

今村 KOILファクトリーにはあらゆる機材が全て揃っているわけではないです。ただ、それはある意味当然のことなので、ない設備をどうこう言ってもはじまりません。だから、今回商品化した「エアコクーン」については発想の逆転なんですよ。強靭で軽量なカーボンを素材にしなきゃドローンじゃない。そんな前提を覆して、ベニヤ板を材料に、KOILファクトリーにすでにある3Dプリンターとレーザーカッターだけで作ってしまった(笑)。KOILファクトリーの設備で、プロトタイプはしっかりできたんです。

西林 え、そうだったんですか!そんな逆転の発想があったとは知りませんでした。

今村 「あるものをどう使いこなすか」を考えたら、自然にそうなったんです。だけど、高価なカーボンは試作でも失敗するとコストがかかる。その点、ベニヤ板とレーザーカッターの組み合わせなら、トライアル&エラーでどんどんブラッシュアップできます。完成形が固まったら、それをカーボンで作ればいいんです。

会員のつながり、31VENTURESのビジネス支援パートナーもフル活用

「エアコクーン」のロゴは同じ31VENTURES会員のデザイナーが手がけたそうですね。

今村 そうなんです。KOILでは会員が自身のビジネスをプレゼンし、交流を深める「ビジネスミーティング」が月一回開催されています。商品化に向けて、ロゴが必要だと思っていたとき、ちょうどビジネスミーティングでデザイナーの方のプレゼンを聞いて、声をかけたら二つ返事でOKをいただいて、1週間ほどで作ってもらいました。だけど、この出会いのエピソードはこれだけで終わりません。僕がSNSで「こんなに素晴らしいデザイナーがいるよ!」と知らせたら、仲間から「紹介してください」とオファーがあって、そのデザインワークもすぐ成約しました。

後藤 31VENTURESでは各施設での交流を活性化するために、イベントを企画・運営するパートナーらと共にさまざまなイベントを開催しています。今村さんのロゴデザイナ―との出会いも、自宅で1人で起業していたら起こりづらいことで、コミュニティに接しているからこそのメリットの1つです。会員同士だけでなく、事業分野や興味関心などの異なる色々な領域のコミュニティを1点、31VENTURES KOILで繋げることで、31VENTURESに集まるコミュニティは豊かで複層的になります。このようなエピソードがどんどん生まれるように、今後も多様な角度の交流機会を同時多発的に提供していきたいですね。

今村 スタートアップの環境としては、ビジネス支援のサポートも大きかったですね。ドローンワークスを起業した時には、大企業と交わす契約書の不平等さに悶々としていましたから。31VENTURESのビジネス支援パートナーであるTEPのランチセミナーに参加したことで、相談の糸口が見つかりました。TEPの専門家の方々は、気軽に何でも相談してください、と言ってくれました。その姿勢がうれしかった。

後藤 31VENTURESではTEPをはじめとするビジネス支援パートナーにご協力いただき、法務、会計などさまざまなエキスパートがベンチャー企業の課題にお応えできる体制を整えています。法務の対応がしっかりしている大手企業との交渉の中で、ベンチャー企業が不利にならないよう、31VENTURESではしっかりサポートをさせていただきたいと思っています。

今村 そうなんです。小さいベンチャーでもしっかり主張はできる。その知見を得られたのは大きかったですね。僕はエンジニア出身なので、経営戦略のアドバイスも参考になります。たとえば、VCにプレゼンする際のアドバイスも実戦的で助かりました。支援パートナーである専門家や三井不動産の各部門と、ベンチャー企業との間をつなぐ後藤さんは、さまざまな悩みをワンストップで相談できる頼もしさがありました。

後藤 ありがとうございます。来年には、31VENTURESの中でもベンチャー企業向けのインキュベーション機能をしっかりと確立させ、より多くの方にビジネス支援を活用してもらえるように体制をより強くする予定です。またコミュニティの面では、今村さんのように、ご自身の事業の話だけではなく、多様な発案をしてくれる方のアイデアを大切にし、複合的なコミュニティを醸成させていく必要があると思っています。人は幅広く有機的に興味関心を持ちます。1つのコミュニティでは閉塞してきて飽きてしまったり、メンバーが固定化してしまったりします。コミュニティは常に複数が重なったり、離れたり、入り混じっている必要があります。その舞台が31VENTURESである、というのが私の理想です。

西林 柏の葉におけるコミュニティづくりに関しても、今村さんはいろいろなアイデア、構想をお持ちで、刺激になるところが多いんです。さまざまなビジョンをもつベンチャー企業が集まってKOILが盛り上がっていくことで、柏の葉スマートシティをさらにバリューアップしていきたいと思っています。

今村 「ファクトリーで電子工作の勉強会をやろうよ!」という声も上がってきており、コミュニティとしてKOILを活用しようという動きも活発です。僕自身は、柏の葉をIoTの拠点にできれば、というビジョンを持っています。リソースは十分にあるので、活性化の余地は十分にある。「日本発のIoT拠点」としてうたえれば、開発をしたい人が集まってくる可能性は十分にあると思っています。

ドローンワークスのKOILファクトリーやコミュニティの交流、そしてビジネス支援など31VENTURESの活動の幅がわかりました。今後も、多くのベンチャー企業が集まりながら、31VENTURES会員がどう変化していくのか、楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。

取材日 2016年11月