REPORT 2019.08.20 UPDATE

【AEAプレイベント レポート2】AEA2019の概要と過去入賞企業によるトークセッション

7月30日に行われたアジア・アントレプレナーシップ・アワード2019(AEA2019)プレイベントの様子を3回にわけてお届けします。 第2回では、三井不動産株式会社の西林氏からのAEAの説明と過去の入賞企業による講演、そしてインキュベーター視点から語られたAEAのアドバンテージをお伝えします。

第一回目のレポートはこちら
第三回目のレポートはこちら

柏の葉スマートシティとAEA2019

三井不動産株式会社 柏の葉街づくり推進部 新産業創造担当 西林 加織氏

後半のセッションでは、三井不動産株式会社の西林加織氏が、AEAの開催地である柏の葉スマートシティとAEA2019の概要について説明した。 柏の葉スマートシティは都心や国際空港に近く、つくばエキスプレスも開通されており、立地環境に優れている。また「公・民・学」の連携をベースに、街を挙げた「実証実験タウン」として様々なプロジェクトを展開中だ。課題解決の街づくりモデルを具現化する「世界の未来像をつくる街」を目指して取り組みが進められている。
「柏の葉スマートシティの大きな強みは、日本有数の国立大学、医療機関、研究機関など最先端の知が集結していることです。世界トップクラスのがん専門病院には毎日たくさんの患者さんが全国から来院され、大学や研究所では最先端のサイエンス研究に挑んでいます。全国で20拠点を展開している街づくりの推進主体のモデルとなったUDCKや、技術系ベンチャー企業の社会実装を支援するTXアントレプレナーパートナーズ(TEP)と連携しながら、一過性のイベントではなく、街全体におけるスタートアップのためのエコシステムの醸成、ひいては世界的な繋がりや展開を描いています」
この柏の葉スマートシティを基盤に開催されているのがAEAだ。2012年から計7回開催され、15ヶ国の国/地域から154社のベンチャー企業が参加し、独自のネットワークを築いてきた。2019年からは従来のプログラムに加え、参加ベンチャー企業と日本の事業会社とを結びつけるためのマッチングセッションが提供される。ネットワーキングをより容易にするため、面談の予定に加えてブースも常時展示される予定である。
また、今年はさらにAEAを盛り上げるため、AEAの前4日間にKashiwa-no-ha Innovation Fes.が併せて開催される。ノーベル賞受賞者である梶田隆章氏をはじめとした柏の葉を拠点とする研究者の講演会や、東京大学柏キャンパスにて研究されているコンセプトカーの試乗会など、柏の葉ならではのプログラムの開催が予定されている。
西林氏は、最後にスポンサーシップの要項と新設されたライフサイエンス賞の紹介で話を終えた。柏の葉の最先端技術やビジネスチャンス以外にも、街の雰囲気の紹介、そして住民も招待する懇親会なども紹介し、「人」や「繋がり」への重視を伝えた。

医療分野での入賞事例

株式会社ゲノムクリニック 代表取締役 / 共同経営責任者 曽根原 弘樹氏

続いて、過去のAEA入賞企業によるトークセッションが行われた。最初に登壇したのは、AEA2017にて「柏の葉賞」を受賞した株式会社ゲノムクリニック代表取締役の曽根原弘樹氏。
ゲノムクリニックは「知ることで、救える命を増やす」をビジョンに、ゲノム遺伝子を読み解いて特定のがんの発症リスクを判定する事業を行っている。未来を知ることができるゲノム遺伝医療で、病気を「治療する」のではなく「予防する」観点が、三井不動産の「新産業創造」や「健康長寿」と一致していたことからも入賞した。ゲノムクリニックは柏の葉の31VENTURES KOILにオフィスを構えている。
DNA解析や海外事例、将来の国際展開などについて触れた曽根原氏だが、まずは国内の活動に集中したいことと、さらに柏の葉が優れたハブであることを強調した。世界最先端のラボを持ち合わせ、人材も集まっている柏の葉キャンパスは、様々なバックグラウンドの優れた人材とオープンに交流でき、柔らかい空気に包まれていると語った。 ゲノムクリニックのテクノロジーについては、データシェアのブロックチェーン化といった技術的課題のほかにも、心理的サポートや法的倫理的問題、オンライン化による検査の普及、さらにAIやディープラーニングを用いた解析の質的上昇など、幅広い未来への展望を紹介した。

アジア企業がAEAに参加するメリット

Visenze CEO & Co-Founder Oliver Tan氏

二人目に登壇したのは、同じくAEA2017で準優勝したVisenzeCEOのOliver Tan氏。スケジュールの都合により来日することができなかったため、事前に行ったビデオインタビューを通じてスタートアップ企業にアドバイスを送った。Visenzeが拠点を置くシンガポールの視点からAEAに参加するメリットを語るとともに、AEAを活用してネットワーキングを積極的に行うことが、日本事業の展開やプレゼンス構築に繋がるとコメントを残した。
【Tan氏のビデオインタビューは以下からご覧いただけます】

インキュベーターが語る参加企業の成功事例

Innospace Chief Executive / AEA Nominating Committee Member Richard Tan

最後に登壇したのは、スタートアップを推薦・支援するInnoSpaceの代表取締役Richard Tan氏。AEAに関わる、唯一の民間運営のインキュベーターだ。InnoSpaceはAEAの第一回目が開催された2012年に創業されており、AEAの立ち上げメンバーでもある。
「この7年間をAEAとともに歩み、総合的なスタートアップ支援コミュニティへと進化することができました。2019年現在、InnoSpaceはスタートアップ500社を支援し、5年間のサバイバルレートは70%を誇ります。加えて過去数年間連続で上海におけるベストアクセラレーターに選出されています」
過去にInnoSpaceがAEAに推薦した4社の企業は全て大きな成果を得ている。2013年に準優勝を果たしたGSレーザーは、中国の超高速レーザーカッティング市場の6割のシェアを獲得。2016年にエントリーしたWuta Cameraは、AEAでの経験を踏まえてビジネルモデルを調整し、ユーザー数を2万から1200万人まで拡大。その後6ヶ月連続でApp Storeのカメラアプリのトップ5にランクインした。
2017年にエントリーしたZhuhai Ziyan Unnamed Aerial Vehicle Co. Ltd.は産業ドローン分野で活躍中。テレコム、スマートシティや林業分野で顧客を獲得しており、当時から20倍の売上増を達成している。昨年エントリーしたGEXIN New Energy Technology Co., Ltd.はPCのマスプロダクション問題に取り組んでおり、現在InnoSpace初の18-24ヶ月の短期間でメインボードを果たすことが期待されている。
「AEAはメンバー同士が強みを認め合い、信頼ある協力関係を築く場です」と締め、今後もAEAの濃いネットワークを活用し、他のメンバーともパートナーシップを強めていきたいと想いを語った。